ごまかしはいけませんゾ

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PICT1359.jpg日本で、ひとつしかない『全寮制高校』メタセコイアの茂る秋川高校・・・秋留台に学ぶ若人たちは、いうにいえない誇りをもっているに違いない。それが即『母校愛』にも直結されるものである。

ところで、校庭から一歩でた秋川周辺のひとびとは、一体、どんな目で秋川高校を見つめているのだろうか。

その一番手として、秋川高校生なら、誰でもが通らなければならない『西秋留駅』の駅員の方にご登場願った。








【ゴマ化しはいけませんゾ】・・・西秋留駅長室

個人的にはいい青年が多いが、あに年代でなくても、例の『群集心理』というヤツにかられたときには魔がさすというか、スリルを楽しむというか、ときどき、間違いを起こす生徒さんがいます。そうですねェ、月に五、六件ぐらいは・・・。

別に統計をとったわけじゃあありませんが、学年別には二年の後半の頃からが多いようです。一種の『伝統?』でしょうかネ。

多いのは『無札旅客』というものです。つまり、乗車駅から30円区間の切符を買い、駅名と運賃の箇所をツバをつけて消したり、丸くまるめたりして改札を出る手口です。外出、外泊から帰校する時間がきまってますから改札口はギッシリで、手薄なこんな小さな駅では、いちいち、見ている間がない。あとで切符を整理すると、そんなのが出てくるのです。

運悪くというと変ですが、たまたま、見つけたときは調べます。帰校時間も気になるとみえて、正直に白状する生徒さんには『二度とやるんじゃないゼ』と、そのまま無罪放免するが、態度の悪い人は、とことん、とっちめて三倍の料金を払ってもらいます。

こんなこともありました。「落としました」「どこから乗った」「立川から」「いくら払った」「60円」・・・実は立川からは70円なので、バケの皮がはがれてしまったわけです。

また、こんな手口もあります。改札を出るときに、40円支払って「熊川から」だと。熊川というのは、ここから立川寄り、二つ目にある無人駅で、まず、ここから秋川の生徒さんが乗ることはないはず。見えすいたウソなのに、問いつめると「イヤ、絶対、熊川から乗ったんだ。無人駅は国鉄の責任だ」とがん張る始末。ハシにも棒にもかかりませんヨ。

こんなこともありました。やはり無札乗客で注意した生徒さんと、たまたま、顔をあわせたとき「この前はありがとうございました」とあいさつされたんです。いやー、実に気持ちのいい好感のもてる青年でしたヨ。

切符のごま化しは、高校生だけでなく、おとなだってやってることだが、私たちが秋川の生徒さんに注意するとき、いつも「君らも、やがて、おとなになるんだし、人を使う立場に立つ人なんだから、こういうことだけはしなさんナ」とつけ加えることにしています。

はじめに、いったように、秋川の生徒さんたちはいい人たちですヨ。
【秋川だより50号 昭和50年7月10日】